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2006年11月30日

少年の可塑性

前回の話は、成人の刑事事件を想定したものですが、今回は少年事件について、知っておいて損はない話をします。

少年(未成年の男女をさします。女の子も少年と呼ばれます)事件の場合、刑事「訴訟」ではなく少年「審判」という手続きによって、少年の将来を考えて、処分が決まります。

少年の場合は、犯した犯罪について、刑罰を与えるという視点ではなく、少年の更生可能性を第一に考えて、どのような処分にするのかを決定します。そのため、犯罪事実そのものを特に重視するということではありません。
そのため、成人の場合、実刑相当の事件を起こしても、保護処分(保護司による監督を受けて、生活を改善する)ということも珍しくありません。
処分の内容としては、保護処分の他に、少年院送致という処分等があります。
また、最終的な処分を決めるまで、様子をみるという試験観察という仮の処分があったりします。

よく鑑別所と、少年院の区別がつかない人が多いですが、鑑別所は審判までに、その少年の性格や素養を確認するところです。成人でいうところの留置所、拘置所にあたります。

このように少年については、成人と異なり、刑罰という視点からではなく、少年の更生を第一にした手続きがとられています。
最近、少年による重大事件が多いので、少年にも成人と同様に刑罰を。という声も少なくありません。少年法の改正議論もなされています。

しかし、ほとんどの少年は、事件をきっかけに自分自身の本当の姿を知ることが多く、審判により更生が可能なことが多いというのが、私の実感です。
可塑性というのは、悪い状態からどの程度回復できるかという度合いを示す言葉ですが、少年はまさに可塑性に富んでいます。

その可塑性に賭けてみることは決して無駄な作業ではないはずです。
それを待てない社会というのは大人にとっても住みにくい社会ではないでしょうか。

今日も、審判を終えて、自分を律していく生活をしようと決心した少年に付添いました。
彼の可塑性を私は信じています。  

Posted by たばやん at 12:14Comments(0)法律