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2006年12月22日

目的と方法と条件

今日は、とある少年事件でした少年とのやり取りをお話しします。

最近は、学校の方も処分が厳しくなっており、今回の少年は一旦高校を退学せざるを得ないようです。

少年にその場合、どうするのかと聞きましたら、とりあえず他の学校に行くと言います。
「とりあえず」と言った言葉にひっかかった私は、君は将来何になりたいのかと聞きました。
少年は、飲食店を経営したいと言いました。両親の仕事の関係で、飲食店のオープンまでの過程やその後を見ていて、興味を持ったそうです。
ならば、料理の勉強をしに、フランスでもイタリアにでも修行にいく方がよいのではないか、高校3年間遊んだ人間と、海外に3年間武者修行に行った人間がいたら、君が経営者なら、どっちを選ぶ?と言いました。
少年は、すかさず、そりゃ海外組でしょうね。と言うのです。

じゃあ、なんで君は高校に行くの?と聞くと、みんなが行っているし、中卒だと夢が叶わない時は仕事がないからというのです。

う~ん・・・
先に保険をかけるということかあ・・・

君は、事業家、経営者になるという目的があるのに、それがだめな時に備えて、今からまずその準備をしようとするのかい?
目的を達成するために、すべきことをする前から、失敗したことを考えている人が、成功すると思う?

と私は、少年に聞きました。

目的を達成するために色々な方法があります。方法を実行するからには、目的に近づかなければ何の意味もありません。

君は、経営者になるために高校に行こうと思っているのではなくて、従業員になる余地を残したいために高校に行くと言う。
それは、目的からすでに逃げているのではないか?目的と方法が一致していないのではないか?
少年は、私の言いたいことが分かったようで、はっとした顔をしていました。

そして、次に、経営者になるためには、何の勉強をしたらいいですか?経営学は、高校で教えてくれますか?と聞いてきました。

私はとてもうれしかった。なんともいえない感情でした。
自分の叶えたい目的達成のためには、最短距離の方法をまず知らなければならないと気付いたのです。
最短距離を知った上で、そのリスクを考えて、時にはそれ以外の回り道を選択することも必要です。
しかし、そもそも最短距離でどのくらいかが分からなければ、回り道であれば、いつ目的地に着くのか、そもそもその道が目的地に続いているのかも分からないでしょう。
自分には何も知識がない。そのためには教えてくれる学校に行こうとまず最短距離の方法を知ろうとした少年は、わずか数分前よりも、間違いなく成長していました。

少年事件は、少年が成長する過程に立ち会えます。
大変なことが多いですけれど、わずか数週間のうちに本当に人が変わります。
自分自身のことや周りのことについて、全く考えたことのない子供達ばかりですから、当然といえば当然です。
親でもないのに、その気づきを与えることができる。
反面、その責任の重さを感じる仕事でもあります。

私は、経営を学ぶことは大変だけれど面白いこと、(少年は両親の手伝いもしていたので)、その中で彼には経営者に話しを聞く機会があったこと、そしてそれはものすごく貴重な経験であり、今までもったいないことをしてきたことになると話しました。
少年は、自分自身の進路をどうするのが、一番いいのか考えるようになりました。


しかし、目的を達成するためには方法を間違わないことの他、満たすべき条件を満たすことが必要です。そして、何を満たすべき条件とするかがもっと重要です。

例えば、企業の経営においては、利益を確保することは、企業の目的ではなく、満たすべき条件です。企業が存続・継続するための条件にしか過ぎません。
企業の目的を利益そのものにすると、その企業の将来はあまり明るくないでしょう。
目的と条件を取り違えることは、目的達成のための方法を間違えること以上によくあります。そして、本人がそれに気付かないということもよくあることです。

少年には、その話しをまだしていません。
少年は、ようやく自分で考えるという作業の意味を理解しかけたところです。
それにこれから先は、彼自身で見つけていく答えだと思います。
事件として終わってしまえば、彼と話すこともないかも知れません。

しかし、彼が、私に相談をしてくれて、次の質問をしてきたら答えるようにしたいと思っています。

「経営者(として成功するため)には、知識の他に何が必要ですか?」  

Posted by たばやん at 19:39Comments(1)法律