2007年01月16日

クライシスマネジメントその2

問題が発覚した時、経営者がどう行動すべきかの手法を示すのが、クライシスマネジメントだと理解しています。

よく言われるリスクマネジメントは、平時の「備え」を説いているのに対し、クライシスマネジメントは、まさに「有事」、現場での経営者の対応を説いています。

問題が発生したとの第一報を聞いて、経営者は、まずそれが、「有事」レベルか、「平時」を越えるまでには至らないものかを判断しなければなりません。

そこを見誤ると、後の処理は全て間違うということになります。
不二家の場合、食品メーカーで材料の品質に関わる問題、しかも故意の可能性があるという時点で、明らかに「有事」です。
一従業員のしたことか、組織ぐるみかが不明でも、それは有事性を左右する要件ではないです。

有事と判断した場合、経営者は、正確な情報収集ができる態勢にならなければなりません。
ここで多くの経営者が、間違うのは、管理職に情報収集を命じて、自分は本社に残ってしまうことです。管理職に情報収集を命じるのは、愚の骨頂と言っても過言ではありません。特に問題発生の担当部署の管理職だと目もあてられません。
上がってくる情報に、必ずバイアスがかかるからです。

不二家の場合も、社長の持っている情報にバイアスが掛っていたことが、時間が経つにつれ明らかになっています。

有事の場合、経営者は組織をフラットにして、直接情報を入手しなければなりません。
そのためには、社長室で待っていては駄目なのです。
現場に直行しなければなりません。その上で、当事者から個別にヒアリングをして、状況と事実を把握しなければなりません。
これは、経営者自ら立ち会わなければなりません。

直接の経験が、後の自分の発言に、信用力をもたらすのですから。

そうすると、経営者は問題発生から、大体24時間くらいは休む暇がないかも知れません。
雪印の社長が、寝ていないと言ったのは、あながち嘘ではないでしょう。
雪印の社長が、間違えたのは、寝ずに話を聞いた人間が、重役ばかりだったという点です。

現場の人間から、直接話を聞いていれば、対応は当初から全く変わっていたはずです。

「有事」発生から、直ちに自ら情報を収集し、全容を把握する。クライシスマネジメントは、これに尽きます。全容が把握できなければ、時間をかけるしかありません。
範囲を想定できなければ、対策を打てないからです。

もっともここで言っている全容とは、些細な事実関係の存否までは含みません。
その辺の判断は、冷静な判断ができる、会社外部の専門家(弁護士や、リスクマネジメント専門家等)等と打ち合わせながら、行います。

全容が把握できると、そこから原因を抽出し、対策を講じます。
そして、それらを整理して、プレス発表という形になります。







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Posted by たばやん at 11:42│Comments(0)経営
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