2007年06月22日

訴訟リスク

企業(個人もそうですが)のリスクマネジメントを考える上で、訴訟リスクというものは常に考えておかなければなりません。

問題がおきても、話し合いでなんとか片をつけるという時代ではなくなってきています。
いつ自分の会社が訴訟を起こしてもよいように、起こされてもよいように準備しておかなければなりません。

そのために、大企業等は、契約書のチェックや、コンプライアンス体制の充実を図っているし、そのための経費をかけています。

しかし、ベンチャーや中小企業が、そのような体制を常備することはなかなか難しいところがあります。そのため、思わぬところで、紛争に巻き込まれ、訴訟になってから、慌てて、知り合いの弁護士を探すということになりがちです。

転ばぬ先の杖ではないですが、普段から相談できる専門家を身近に作っておくことが大事ですね。
長い目でみると、そちらの方が、安上がりのことが少なくありません。


ところで、訴訟リスクをいくら回避するように契約書や、コンプラ体制を整備しても、訴訟リスクをゼロにすることはできません。

相手方が訴訟を提起すること、裁判に持ち込むこと自体を阻止することは、現実的には不可能です。

契約書に、不提訴条項を入れ込めばいいのでは?と思う方もおられるかもしれませんし、実際にそのような条項が入った契約書も結構みます。

しかし、仮に提訴しないという条項があっても、その条項自体が無効だと争うための裁判を事前に止めることはできません。

裁判を起こされたら、とりあえず対応して、その契約書を示した上で、双方の合意があったことを主張、立証しなければなりません。

したがって、訴訟リスクはどこまでやっても、ゼロにすることはできません。

一方、こちらから見て、全く理由がない裁判、言いがかりのような裁判を受けて立たなければならないことは、今後多くなりそうな気がしています。

こちらが予想もしないような理屈で、何かを請求してくることもあり得ます。

アメリカでは、ドライブスルーで頼んだホットコーヒーを自分でこぼしておきながら、コーヒーが熱すぎて火傷したと訴えて、賠償金を得た有名な事件もありますが、賠償金額は別にして、日本でも同じような請求が起こってもおかしくない時代になりつつあります。

つまり、これからは、紛争が予見できるものに対するリスク回避策だけでなく、予見できない紛争への対応策も講じておかなければならなくなってくるでしょう。

それらのコストは、いずれ顧客である我々にはね返ってくるかもしれません。

各人の法的意識・権利意識が高まるのは、総論としてはよいかもしれませんが、紛争のスクリーニングをもう少し考えないと、社会的コストが非常に高くつく社会になりそうな気がしてなりません。


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Posted by たばやん at 00:19│Comments(0)法律
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