2008年03月06日

キーマンはだれだ?

弁護士をしていると、様々な紛争が持ち込まれる訳ですが、その多くは、その紛争の中身というか内容を、例えば、法的な解釈や、それに基づくこちらの主張が、裁判になった場合に通る割合等々を相談されに来られます。

それは、それで大事な問題で、法的に争っても勝ち目が全くないのなら、早めに落としどころを見つけた方がいいですから、きちんと検討しなければなりません。

一方、その紛争を「交渉」と捉えたときには、それだけでは検討として不十分です。

こちらが、100%正しい、どう考えても何ら非を問われることがないというのは極々まれで、紛争になるからには、相手にもそれなりの言い分があるはずです。

したがって、紛争の解決を、「交渉」で行おうと思ったときは、紛争の論点、中身もさることながら、誰を相手にするのか、その相手とどれくらい交渉すべきなのかといった、交渉技術、交渉能力も重要になってきます。

その辺を理解せずに、こちらの法的な主張を一方的に言い続けるようでは、結局裁判所まで行かないといけないということになりがちです。

もちろん、裁判所まで行って、きちんと白黒つけるべき事件や紛争もありますので、一概に「交渉」で終わらせることを勧めている訳ではありません。

しかし、時間や費用等、その紛争にかかるコストを考えた場合に、訴訟ではなく、なんとか交渉で決着をつけたいということがあるはずです。


そんなときは、やはり、交渉能力が重要になってくるのです。

交渉においては、キーマンが誰かを見極める必要があります。
こう書くと、すぐにそのキーマンと直接、すぐに話しをしようとする、すればいいと考えがちですが、そうではありません。

キーマンとは、しかるべき時に、しかるべき内容で、話をしないといけないのです。


例えば、こちらが何らかの商品を買った側で、その商品にトラブルがあり、損害を賠償してもらいたいと思ったとき、すぐに「責任者をよべ、支店長を、社長をよべ」と言いがちではないですか?

しかし、それでは、相手の提案の余白というか余地を全く奪ってしまうことになり、呼ばれた支店長や社長からは、通り一遍の回答しか引き出せません。

決裁権を持つ人物と会って、話をするには、地ならしをしてからの方が得策です。

決裁権者に、「仕方ないですね、分かりました」と言わせる工夫が、交渉をまとめるためには必要なのです。
逆に、自分が求められる立場に立った場合には、いきなり決裁権者を出しては、いけないということになります。
弁護士を代理人に立てるのも、決裁権者の前にワンクッションを置くという意味があるのです。

それから、会社での立場が上でも、その人物には、意外に実際の決裁権限がないということもよくあります。

例えば、大企業では、本社のヒラ常務より、営業部隊の九州支社長の方が、現場の問題の決裁権限が大きいということもあり得ます。


相手のキーマンをいつ、どのタイミングで呼び出すか。
これが、交渉のキモといってもいいでしょう。


弁護士に相談・依頼にいくときは、これは裁判にしたくないなあと思ったら、その辺の機敏が分かる人に依頼するといいでしょうね。


同じカテゴリー(経営)の記事画像
知財マネジメントスクール2010開催します!!
九州知的財産マネジメントスクール2008開講します!
ノードストロームと手帳の話
赤福よ、お前もか・・・
九州知的財産マネジメントスクール受講生募集のお知らせ
同じカテゴリー(経営)の記事
 無事1周年! (2011-04-01 20:43)
 QBS博多駅サテライトオープニングイベントのお知らせ (2011-02-23 18:34)
 知財マネジメントスクール2010開催します!! (2010-10-28 08:34)
 ホームページができました! (2010-10-20 00:23)
 中国キーマンとの交流会のご案内 (2010-08-11 18:09)
 手法は任せる (2010-06-16 19:11)

Posted by たばやん at 17:10│Comments(0)経営
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。