公判前整理手続に付されている刑事事件の証拠記録の整理・検討が終わりません(泣)。
気分転換に、ちょっと思ったところを。
検察側は警察での捜査も合わせて、組織的に膨大な書類を作り上げ、裁判に提出しようとしますが、弁護人は基本的に個人でそのチェックに対応しなければなりません。
供述調書等に書かれた文字のその先に隠されているものがないか、考えながら読み込まないといけないので、大変です。
否認事件であれば、なおさら、公判廷に提出させるべきか否か、より慎重に判断しないといけません。
従来だと、公判が始まってからでもなんとかなったのですが、公判前整理手続では、それを事前に終わらそうということですので、頭では分かっていましたが、締切が迫ると、否応なしに、その厳しさが突きつけられますね。
しかし、一人の人生が懸かっていますから、適当にはできません。
よく、なぜ悪いことをした人(被告人)の味方をするのですか?という趣旨の質問がでますが、悪いことをしたかどうかを確かめるのが刑事裁判です。
ほとんどの人が実際に、罪を犯しているかもしれませんが、中には本当に何もやっていない人が間違って起訴されていることがあります。
それは、いわゆる「えん罪」であり、ニュース等でご存じのはずです。
その間違いをなくすために弁護人をつけている。という面があることは否めません。
また、実際に罪を犯している場合であっても、その人の言い分が正しく伝えられた上で、全ての事情を考慮して、起こした結果にふさわしい量刑を裁判官に考えてもらわないといけません。
加害者に甘すぎて、被害者に冷たいのではないか。という議論もありますが、それは罪を犯したことが明らかになった場合の問題点のひとつですね。
その前の段階、本当にその人がやったのか。という点をきちんと検証するために弁護士が「弁護人」として果たすべき役割があるということです。
弁護士が司法書士や、行政書士等の他の法律専門職と大きく異なるのは、刑事弁護を行うという点です。
弁護士の人数が増えていますが、この公益的な役割、社会的義務を進んで果たそうという人は、あまり増えていません。
当番弁護士制度を創設する等、刑事弁護の先駆的な役割を果たしてきた福岡県弁護士会でも、当番弁護士制度や国選弁護人名簿への登録が伸び悩んでいます。
確かに大変です。
「仕事」や「ビジネス」という意味では、全く割に合いません。どう考えても、現在の制度は、経済的にはペイしない仕組みです。
それでも・・・、という思いで私はやっていますが、例えば、「事務所を維持するためには、到底、刑事事件は出来ません」という、いきなり独立開業した弁護士に対して、当番弁護士の登録をお願いすることは、私にはできません。彼らの事情は、理解できますから。
弁護士が、就職難の末、いきなり独立する時代です。
わずか数年で、弁護士の業界は激変しました。
これから更に変わっていくでしょう。
しかし、残念ながら、今のところ、市民のためになる変わり方ではないように思います。
誰が得したのか、誰が割りを食うことになったのか。
皆さんは、どう思われますか?
さて、仕事に戻りますね(笑)。