2006年12月17日

被疑者国選制度の混乱?

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061214i205.htm

警察官も対応が大変なようです。

被疑者国選は、現在重大事件の被疑者に限って、適用されることになっています。
その重大事件が何かというと、刑事訴訟法37条の2により定められている、死刑、無期若しくは短期1年以上の懲役もしくは禁錮にあたる事件とされています。(将来的には、短期1年以上が、「長期3年を越える」に変わります。そうなるとほとんどの犯罪が被疑者国選の対象になります。)

死刑、無期は、殺人、強盗殺人、現住建造物放火等、いわゆる新聞記事やニュースになる重大事件ですから、ある程度すぐ分かると思うのですが、短期1年以上の犯罪は結構たくさんありますので、確認してみないと分からないこともあると思います。
現場の警察官の全員が正確に把握しているとは思えないですし、それを非難することも難しいでしょう。制度として、チェック体制を整備しなければなりません。

実際、運用の当事者として、ひとつ重大な問題だと思うのは、少年の場合の取扱が制度として、きちんと考えられていないことです。
成人の場合、被疑者国選で国選弁護人が選任されると、起訴された場合、特別な手続きはほとんど必要なく、引き続き、国選弁護人として活動できます。

しかし、少年の場合、被疑者国選でついた国選弁護人の活動は、被疑者段階までで終わりですから、少年が家庭裁判所に送致(成人でいうところの起訴)された時点で、国選弁護人の地位を失います。そのまま、国選付添人になれるのかと思っていても、少年事件の場合、国選付添人が必要とされる事件はごくわずかですから、国選付添人に移行することはほとんどないと思われます。

そうすると、送致された時点で、その少年には弁護人も付添人もいなくなることになるのです。
たとえば、示談交渉をしている最中に家裁送致されると、少年もしくは両親から付添人として選任してもらわない限り、弁護士の活動として、行動できる理由がなくなります。
しかも、その選任自体は、少年もしくは両親の自由意思になりますから、基本的に私選付添人となる訳です。
幸い、福岡では、当番付添人制度がありますし、扶助制度もありますので、金銭的に余裕のない家庭でも、付添人を選任できる仕組みになっています。
しかし、手続きのため時間的には弁護人も付添人もいない状態ができてしまいます。そもそも被疑者国選制度が適用されるような事件ですから、その弁護活動の中で、空白の時間ができることは避けなければなりません。

なんのために制度を設けるのか、本質的な議論ができていないまま、進めてしまったようにも思えますが、最初から完全な制度はありません。

今後、制度見直しの際に、考えなければならない問題だと思っています。


同じカテゴリー(法律)の記事画像
医療機関向け経営戦略セミナー明日(18日)、開催!
コーラは、勝ちました。
セミナーの講師を
「ドキュメント知財紛争」DVD発売中 
はやくも偽物が
素人という言い訳
同じカテゴリー(法律)の記事
 「事件」と「仕事」 (2011-02-28 09:15)
 企業クレーム対策セミナー、いよいよ今週末です! (2011-02-07 09:14)
 企業クレーム対策セミナー@福岡は2月18日です! (2011-02-03 14:34)
 弁護士1名を採用します。 (2011-01-27 11:32)
 第3回契約書作成支援セミナー@福岡を開催します (2011-01-26 19:59)
 企業クレーム対策セミナーを開催します! (2011-01-24 16:21)

Posted by たばやん at 08:28│Comments(0)法律
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。