2007年03月30日

買収防衛策、株主総会決議へ

サッポロの株主総会で、新買収防衛策が承認されました。

ニュースはこちら

サッポロホールディングスの買収防衛策についてはこちら

興味のない人にとっては、サッポロというブランドがどうなるか、外資にわたるのか程度の話かも知れませんが、日本のM&Aの歴史的には、大きなターニングポイントになるものかも知れません。


会社の買収防衛策については、大きく2つの視点から議論ができます。


①公開会社であること=誰でも株を買うことができないといけないのではないか
②取締役が株主を選択することができるのか


公開会社が一定数以上の株式の購入をどういう形であれ、制限することになるのは、「公開」の否定ではないかと考えられます。
買収されるのが嫌なら、そもそも公開(上場)するなという理屈です。

    ※「公開」と「上場」は厳密には異なります。



現に、サントリーのように従前から非上場としている会社もありますし、上場していた会社がMBOにより、クローズドカンパニーとなる(MBO:経営陣によるTOB等の株式買い付け。これにより株主数(比率)の関係により上場基準を満たさなくなることがあります)例も少なくありません。


すなわち、上場しているのであれば、株主の構成はどうでもよいというのが大前提となるはずで、それを制限すること自体許されないのではないかという観点です。


さらに、多くの会社で採用されている買収防衛策は、事前に買収案や買収後の経営方針等を開示させた上、それが企業価値を損なうものでないかを取締役会がチェック→取締役会の判断で対抗措置(新株発行等)をとるというものです。


これは、結局、株主を取締役が選ぶことに他なりません。現在の株主から委任を受けているとはいえ、新たに株主になろうとする者を、既存の株主から委託を受けている「だけ」(こう言っていいのかが論点ですね)の取締役が、選別してよいかという問題があります。主従が逆転してしまう可能性があるのではないかという観点からの議論です。


これらの問題を決することができるのは、会社の所有者たる株主だけです。
そのため、買収防衛策をわざわざ株主総会で決議するのです。


株主が決めたのであれば、それはその会社の最終かつ最高の意思決定に他ならないのですから、取締役会にどのような権限を与えるのかも他からとやかく言わせることもありません。
後は、多数決により、意思決定をした場合、そこからこぼれる少数者の権利を保護すれば足ります。(それについては、会社法である程度カバーされています。)



サッポロの決議は、株主に会社の意思決定権が戻ってくる、そのような流れを作る大きな第一歩だったと評価される日がくるかも知れません。


次は、アデランスでも株主総会での攻防が待っているようです。

スティールパートナーズの巻き返しがあるのでしょうか?!




同じカテゴリー(経営)の記事画像
知財マネジメントスクール2010開催します!!
九州知的財産マネジメントスクール2008開講します!
ノードストロームと手帳の話
赤福よ、お前もか・・・
九州知的財産マネジメントスクール受講生募集のお知らせ
同じカテゴリー(経営)の記事
 無事1周年! (2011-04-01 20:43)
 QBS博多駅サテライトオープニングイベントのお知らせ (2011-02-23 18:34)
 知財マネジメントスクール2010開催します!! (2010-10-28 08:34)
 ホームページができました! (2010-10-20 00:23)
 中国キーマンとの交流会のご案内 (2010-08-11 18:09)
 手法は任せる (2010-06-16 19:11)

Posted by たばやん at 18:36│Comments(0)経営
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。